その昔、この店には世話になったもんだ。 コーヒーばかり好んで飲んでいた私に紅茶というものを教えてくれた店だった。ポットで蒸らす紅茶の渋味に感動したものだった。久々に足を運ぶと、店内はあわただしく、引っ越し作業の最中だった。気がつくと芦屋に移転することとなっていたのだ。
ビラをもらった。
悔しさを感じる内容だった。
毎日ホールのすぐ近くわかりやすい場所にあったころは、ぽちぽちと通っていた。ヴバというめっちゃおいしい紅茶を知ったのもこの店だった。カップの上に蓋をして蒸らす楽しみを知ったのもこの店に来てからだ。
大阪にも、最近やたらと新しい商業施設ができているが、私にとって魅力的と感じるところはほとんどない。気がついたころに安心して通える場所が減っていくのを寂しく思うのは、私が歳をとったからだろうか。常連さんというわけではなかったが、どうもそこは私にとって大事な場所の一つであったみたいだ。人にとって居場所ってのは、やはり大事なものらしい。